
歯垢(プラーク)中の細菌が歯ぐきに感染して始まります。やがて、歯のまわりの骨などが失われていく病気です。
歯周病は虫歯のような歯の病気ではありません。
歯を建物に見立てると、地盤に相当する部分が無くなっていく病気です。
軽度の歯周病では自覚症状がほとんどなく、気づかないことが多いです。進行にともない、歯の揺れ、歯肉の腫れなどを自覚するようになります。
日本人の成人の約80%が歯周病にかかっているといわれています。「私は虫歯がないから大丈夫」という状態の人は歯科医院にかかる機会が少ないので発見が遅れる場合があるので要注意です。
歯周病は進行状況によって、歯肉炎→歯周炎の2つに大別されます。
歯周病の初期段階で、歯ぐきが腫れただけの状態です。
炎症は歯肉にとどまり、骨やその周囲組織(歯根膜・セメント質)には、まだ問題が起きていません。
1.プラーク性歯肉炎 | : | 歯垢(つまり細菌)が増えて歯肉に感染した状態 多く見られるタイプの歯肉炎 |
2.全身因子関連歯肉炎 | : | 歯が生える時や、妊娠・ホルモンなどが関わる |
3.栄養障害関連歯肉炎 | : | ビタミンCの不足などによるもの |
日本歯周病学会による歯周病分類システム(2006)
健康な歯周組織 | 歯肉炎 |
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健康な歯周組織です。歯肉はひきしまり、歯根に付着しています。 | 歯垢がたまり、細菌感染を起こして歯肉が腫れています。 |
細菌感染が歯ぐきの深い部分に進み、骨などの周囲組織まで壊れてしまった状態です。
1.慢性歯周炎 | : | 中高年で多く見られる歯周炎 成人性歯周炎のこと |
2.侵襲性歯周炎 | : | 30歳以下の人に見られる特殊な歯周炎 進行が早い |
3.遺伝疾患にともなう歯周炎 |
日本歯周病学会による歯周病分類システム(2006)
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歯肉への細菌感染が続くと歯肉が損傷され歯周ポケットが出来ます。歯周炎のはじまりです。 | 深い部分に細菌感染がおよぶと骨が破壊された状態になります。歯の揺れが目立つようになります。 |
まずはお口の状態をよく把握してから治療計画を考えます。
当院の歯周病診査
必要に応じた診査を行った後に治療計画をご説明いたします。ご一緒に計画を練り、ご納得いただけたら治療のスタートです。
大切なことは、細菌とリスク因子の除去です。
すべての病気は原因除去が治療内容のメインになります。歯周病治療における原因除去とは、ずばり細菌を除去することです。さらに歯周病を悪化させるリスク因子の除去を同時に行うことが大事です。
ここでは歯周病治療の方法を記します。
増殖を続ける細菌に対処するには適切なブラッシングを行うしか方法がありません。ブラッシングの練習をして、歯と歯肉の間や歯と歯の間など細かい部分の清掃をしていただきます。
喫煙やかみ合わせの問題は歯周病の進行を早めてしまいます。これらの因子を伴う患者様には、リスクをなくすように必要に応じたご指導や治療をさせていただきます。
術前 | 術後 |
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歯が等間隔で並んでいないので食べ物がはさまったり、歯ブラシが入りづらい状況でした | 歯の移動が完了したところです。ブラッシングが簡単になりました |
ここからは患者様が歯ブラシで除去できない部分の清掃です。麻酔をして歯周ポケット内部(歯肉の下)に隠れた歯石や細菌など感染源の除去を行います。
歯石の除去をした後で歯肉の検査を行い、歯周ポケットの状態を確認します。ここで十分な改善が認められたら、歯周病の治療はおしまいです。
歯石除去前 | 歯石除去後 |
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歯石除去前 | 歯石除去後 |
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歯肉の腫れがひろがり膿が出ているところもあります | 歯石を除去するだけで歯肉の炎症がなくなりきれいになりました |
歯石除去だけで十分な改善が見られない場合、人工骨や歯周組織再生誘導材料などを使用して骨を再生する治療も行います。
また、すでに何本かの歯を失っており、治療して残した歯だけでは本数が足りない場合があります。こういった場合は、インプラントを入れることで残した歯の負担を軽減して良く咬めるように出来ます。
歯周病で損なわれた骨組織の再生治療も行っています。左下の奥歯に対して再生療法を行ったケースです。
奥歯の周りの骨が壊れて消失していましたが、6ヶ月後には回復してきています